Special Interview-古代地下都市ポロラからの脱出

2021.10.20

札幌の地下街が、非日常の空間に変わる 「古代地下都市ポロラからの脱出」

センバ ノブユキ(ClaGla) × Umimal(ClaGla) × こだまじゅんじろう(ClaGla代表)

 
ClaGlaが手掛けているのはボードゲームだけじゃない。 ClaGlaでは2021年4月3日より、札幌の地下街を舞台にした 謎解きゲーム「古代地下都市ポロラからの脱出」を開始! 作・演出を手掛けた謎解き作家のセンバノブユキと、 グラフィックデザインを担当したUmimal、 プロデューサーのこだまじゅんじろうの3人に詳しく聞きました。
 

冬でも実施できる場所、それは地下だった。

─────ClaGlaではこれまでボードゲームに加えて、リアルイベントの謎解きゲームも手掛けてきました。

 

センバ     はい。2018年に千歳市で「ブラックサーモンを倒せ」を実施したのを皮切りに、2019年には札幌市に誕生した札幌市民交流プラザを舞台に「モモイロの箱」を手掛け、千歳市でも「神の魚を手に入れろ」を行いました。

 

─────そして2020年には、初となる“街歩き型”の謎解きゲームを制作。第一弾として、大通公園を舞台にした「君ノ知ラナイ大通公園」が実施されましたね。

 

こだま     センバは謎解きの作家で、ClaGlaの謎解きは彼を中心に制作しています。そのセンバが活躍できる場としてSapporo Game Space(札幌市中央区南1西5プレジデント松井ビル100地下1階)に「ナゾグラ」という謎解き空間を作り、本当はそこでさまざまな謎解きゲームを展開する予定だったんです。が、新型コロナウイルス感染症の影響でできなくなってしまって…。

 
 

センバ     真っ黒い空間の「ナゾグラ」全体を謎解きの場として考えていて、そこにカギのかかった5つの部屋を作り、その謎を解いていくゲームを企画していたんです。ところが、いざ工事を始めようとしたら緊急事態宣言があり、そのまま完成すると地下の風通しの良くない狭い空間に、人と人との距離が近い密な空間ができてしまう。「それはダメだ」と急遽、方向転換して街歩き型のゲームを用意したんです。

 
 
─────「君ノ知ラナイ大通公園」は2020年9月27日からスタートし、いつまで続いたのでしょうか?
 

センバ     雪が積もる12月半ばまでやれると思っていたら、樹木などの冬囲いが11月5日から始まってベンチの位置が変わったり、結局1カ月ちょっとしか続けられませんでした。

 

こだま     なかなか難しかったよね。

 

センバ     その場にあるものを使えばずっとやり続けられると思っていたけど、今年はオリンピックの影響で大通公園の一部が閉鎖されてしまったりして、雪が解けても再開できず。来年は元の状態に戻るようなので再開できるかもしれませんが、まだ分からないです。

 

─────その「君ノ知ラナイ大通公園」を経て誕生したのが街歩き謎解きゲームの第二弾、「古代地下都市ポロラからの脱出」。こちらはどのように制作を進められていったのでしょうか。

 

センバ     まずは場所を決めました。

 

こだま     大通公園は最初から冬場に続けられないことが分かっていたので、冬場もできる謎解きをずっと考えていたんですよね。

 

センバ     それで、冬はもちろん、天候にも左右されない場所となると、やっぱり地下じゃないかって盛り上がり、中でも札幌の地下街は広いし、迷路みたいに伸びているからダンジョン感があって面白いんじゃないかって。そこからゲームの舞台にできるか、実際に地下街を歩きながら内容を考えていきました。

 

これまで以上の没入感を感じてほしい。

─────公式SNSでは開始する数日前までテストプレイしていた様子が発信されていました。制作にはどのくらいの期間を要したのでしょうか?

 

センバ     どこにしようかと話し始めたのは、大通公園の謎解きがスタートしたくらいだったので、秋からですね。

 

Umimal     で、今年の1月にはテストプレイを始めています。

 

─────となると、「古代地下都市ポロラからの脱出」は2021年4月3日からスタートしたので、調査からローンチまで約7カ月間かけて制作されたのですね。

 

センバ     それくらいかかりましたね。

 

こだま     センバくんは謎解き作家なだけでなく、ClaGlaの取締役でもあり、会社の屋台骨を背負って立つ人間なので、ゲーム制作以外にもたくさんの業務があります。その中でクリエイターとして集中する時間をできるだけ作ってあげられるよう心掛けたつもりですが、実際は相当苦労したと思います。

 

─────苦心して完成した「古代地下都市ポロラからの脱出」は、プレイヤーが新人調査員となって古代地下都市ポロラを調査し、同時に前回調査で行方不明になっている調査員の行方を探します。謎解きはプロジェクトの指揮官であるDr.カダムの指示に従って進めていきますが、今作はその辺のキャラクターづくりやストーリー構成が相当に練られている印象を受けました。

 

センバ     これまでの「モモイロの箱」や「君ノ知ラナイ大通公園」とは、そこが一番違うところだと思います。元々ミステリー小説が好きだったので、今回は新しい挑戦としてストーリーをプラスし、プレーヤーが行動する動機付けをしっかり図れるよう意識しました。ですので、これまで以上に没入感が増していると思います。

 

─────地下都市の名前「ポロラ」はどこから来たのですか?

 

センバ     それはさっぽろ地下街の名称である「ポールタウン」と「オーロラタウン」から取っていました。

 

こだま     最初はなかったんだよね。

 

センバ     ですね。それでこだまさんでしたよね、「名前あった方がいいんじゃないか」って。名前が付いたことで、よりキャッチーになったと思います。

 

こだま     覚えやすくていい名前だよね。それにしても、僕はセンバくんがタイトルに“脱出”って言葉を使ったのにビックリした。そのままの言葉を使うのって珍しいよね。

 

センバ     そうですね。確かに“脱出”って付けたのは初めてかもしれないです。なんかベタだけど、引きがあるというか、キャッチーでいいなと思ったんですよね。

 

─────大通公園が舞台の謎解きでは、ベンチが移動してしまったり、ずっとあると思われていたものが変わってしまうことがありました。今回の謎解きでも、そのようなことを意識されたのでしょうか?

 

センバ     どれを謎に入れて、どれを入れないかは相当悩みました。ずっと変わらずにあるものじゃないといけないので、お店やポスターなどのような、いつ変わるか分からないものは謎に入れられない。かといって、謎にできるものを無難にまとめていくと、今度は謎のある場所が偏ってしまったりして。謎をうまく散りばめて、周遊のバランスをどう取るかというところに一番時間がかかりましたし、かなり苦労しましたね。

キットにも遊び心とこだわりがいっぱい。

─────「モモイロの箱」「君ノ知ラナイ大通公園」の2作品ではメイングラフィックを札幌のデザインユニット、ワビサビが手掛けていました。しかし、今回は違いますね?

 

センバ     今回のメイングラフィックはUmimalさんです。謎解きキットも彼女がデザインしていて、すべてClaGlaで制作しました。

 

─────メイングラフィックは、どのように作られたのですか?

 

センバ     遺跡といえば、やっぱり「インディ・ジョーンズ」じゃないですか。なので、その世界観を感じさせたいってお願いしたよね。

 

Umimal     映画のコンセプトアートを参考に考えましたね。さらに実際に描くのも「インディ・ジョーンズ」の映画を流しながら仕上げました(笑)。意識したのは主人公がパッと目立つ感じ。そして、その先に空間が続くワクワク感も表現したくて、最終的に今のグラフィックに落ち着きました。ちなみに壁面に描かれている古代文字も架空の文字で、世界中のいろんな地下遺跡を調べてオリジナルで作っています。

 

センバ     冒険のワクワク感は入れてもらいたかったんですよね。だけど、土っぽさというか、汗臭い感じにはしたくなかった。そこで、女性でも受け入れられるような、かわいい感じを意識して仕上げてもらいました。

 

─────謎解きキットの冊子も同じようにして作られたのですか?

 

Umimal     いえ、謎解きキットの原稿は、センバさんからかなり作り込まれた状態で渡されるんです。

 

センバ     謎自体にグラフィックを使うことが多いので、まずは自分で作っちゃうしかないんですよね。でも、フィニッシュはさすがにクオリティを出せないので、Umimalさんにしっかりやってもらいました。良い仕上がりになったと思います。

 

Umimal     謎解きが始まる4ページ目のトビラにもこだわりがあって、「物語が始まる感じにしたいので、小説のトビラページのようにしたい」とのことで、そのようにデザインしています。今回の制作はキャラクターデザインも楽しかったです。モデルがいたので、なんとなくテイストを足していったりして。

 

─────今回のキャラクターにはモデルが居たのですか?

 

こだま     ちゃんと見てください。行方不明になった調査員のDr.シンハー、ちょっとパーマっぽくないですか? シンハー、シンハー、センバーみたいな。お分かりいただけましたか?

 

センバ     分かる人には分かるっていう楽しみがあればいいなと思って(笑)。

 

こだま     ちなみにDr.カダムはKDMから来ていて、紐解くと“こだま”です(笑)。

 

─────言われてみると、キャラクター紹介のところで、どうして年齢が書かれているんだろうと不思議に思っていました。

 

こだま     42歳と45歳だからね。

 

センバ     実は年齢が結構いってるという(笑)。

 

Umimal     冊子のグラフィックでは、キャラクターの表情にもこだわっていたり、ダンジョンに深く入っていくイメージで背景色を濃くしていったり、いろんな工夫を散りばめているので、ぜひ注意深く見てもらえるとうれしいです。ちなみに同梱のマップもセンバさん渾身の仕上がりになっているので注目してほしいです。

 

センバ     地図を作るのは苦労しましたね。札幌の地下街ってオーロラタウンとポールタウンにはそれぞれの地図はあるけど縮尺が違ったり、細かい部分は端折られていたり。しかも札幌大通駅コンコースも含めた完全な地図というのが存在していなかったんです。現場でメモも取って、かなり正確な地図を作り上げたつもりです。あとは謎解きキットを入れるバッグにも遊び要素を詰め込んでいるので、ぜひチェックしてみてください。

札幌の地下街で、新たな発見が待っている。

─────「古代地下都市ポロラからの脱出」の謎解きキットは1セット2,500円で、ナゾグラのほか、amazonでも購入できます。実際にプレイしましたが、ゲームの面白さはもちろん、「札幌の地下街ってこんなに広かったんだ!」ってことに、改めて気付かされました。

 

センバ     街歩き型の謎解きゲームとしては、まず隅々まで歩いてもらいたかったので、そう思ってもらえてうれしいです。地元の人も通勤で使っている人は同じ道ばかり通っているかもしれませんし、意外と歩いたことがない場所があると思うんです。悩みながら隅から隅まで謎を用意しているので、ぜひ多くの人に謎解きを通して街歩きを楽しんでもらいたいです。

 

─────謎解きをして、大通駅コンコースに北海道の全市町村の広報誌が読める場所があるのも初めて知りました。

 

センバ     あそこは交通量の多い場所にありながら、なかなか知られていないと思います。そうした新たな発見もあると面白いと思って、謎解きの場所も厳選しています。

 

こだま     大通公園のときもそうだったけど、今回も歴史をいろいろと調べたのも面白かったよね。昔は地下動物園にする計画があったり、オーロラタウンの通路の真ん中には水路があったみたいで。

 

センバ     そうですね。いろんな人にもお会いして話を聞いたり、地下街の歴史をすごく調べました。ただ、今回のゲームでは歴史をあまり入れなかったですね。大通のポールタウンの入口からすすきの方面を見ると、ちょっと上り坂になっていて、そこも使えるかなと思ったけど、最終的には入れられず。

 

こだま     あと、札幌の地下街って本当はもっと広いんですが、今回は札幌駅前通の地下歩行空間も入れなかったんだよね。

 

センバ     さすがにそこまで入れると歩きすぎかなって。歩く距離を計算して外しました。

 

─────ネタバレしないように言いますが、僕は4つ目の謎が解けず、ヒントを結構見てしまいました。

 

センバ     3つ目までは導入として解きやすい謎が続くので、一度あそこで頭をひねってもらおうと、あえて難易度の高い謎を入れたんですよね。そこからは突然難しくなることはなく、後半にかけてグラデーションのように難しくなるよう設定したつもりです。

 

─────最後にClaGlaとして、「古代地下都市ポロラからの脱出」をどんな風に楽しんでもらいたいですか?

 

センバ     日常の空間が特別な場所になったらという思いで作っていますので、ぜひ特別な非日常を楽しんでこの街を好きになるきっかけになってもらえればと願っています。

 

こだま     全国にはさまざまな謎解きゲームがありますが、今回もその街に住んでいるからこそ作れる謎解きをセンバが作ってくれました。街歩き型の謎解きゲームはずっと続けていけると思って始めましたが、「君ノ知ラナイ大通公園」のように看板や景観が変わると続けることができなくなります。それに街って意外と1年で変わったりもするんですよね。本当は札幌に観光に来た人たちにも街を知ってもらうための周遊コンテンツとして、ずっと展開できるのが理想ですが、正直いつまで遊べるかはわかりません。なので、早めのチャレンジをおすすめします。

(インタビュアー:児玉源太郎)
 

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